2004-09-01 この空気を吸え。生きろ。 [長年日記]
MARRAKECH
旅してます。熱さをくらって、風を体すべてでうけとめ、胃腸にはこのアフリカの大地の恵みがうるおっています。きたよ、おれの上昇気流が!ラダック・アフガン以来の突風に運命を漂流させて、ここマラケシュへ。久々に1等の夜行なんて乗ったけれども、こいつが快適なことこの上なし。黄色いサハラの土漠(さらさらの砂が広がる砂漠ではなく、石や硬い土の砂漠)を寝転んだまま眺めて、鉄道が滑り込んだのはモロッコ中部のヒストリカルタウン。赤土の建物がずーーーーっと続いていて(アフリカの中でも裕福な国なので、もちろんパラボラアンテナなんかもついちゃってますが)、フランス製のチャリ型原付やらプジョーやらシトロエンやらロバやらが走ってるわけです。
正直、以前はナメてたよ、この国を。だって、アフリカに行くぞーっていうテンションをずっと持っていたわけで、文化的な側面からエジプトとチュニジアとモロッコはヨーロッパだと考えていたのだから。ここは、アラビックアフリカ。一日中かけて人と商店の間を抜けていく迷路の街。声をかけてくるヤツらは、なんでかみんな親日的で「こんにちは」「さようなら」だけを言いに来てくれる。お茶を飲んだ。商店の店員に「とても来てほしい」と言われて。緑茶に砂糖とミントを入れたもの。パキスタンはペシャワールで飲まれているカワと呼ばれるものとそっくりで、南アジア→ペルシャ→アラビアをたどってきた絹の糸がここにも見えた。熱くてたまらない体をなぜかクールダウンさせてくれる不思議な液体は、アジアから中東、アラブに浸透している。僕はこういうところにいるのが落ち着く。もう、相当に以前に会った旅人たちからのメールが今でもたくさん来ていて、「お〜い、オレはマラケシュにいるよ〜」と返事を書ける分だけ書いた(まだ来ていない人たちは、もうちと待って!)。なんのことはない文面からも彼ら彼女らとは、見えないけどもそれこそ絹の糸のようなものがつながっていて、いま自分は生きていますなんてことをそいつらに伝えているわけで。それほどモロッコは、オレたちが五感を持ってよじれることができるところなのよ。
●写真を楽しみにしてくれているかたがたへ/ちょっとiPODがホンマに死んでしもうたかもしれなくて、どうしようもありまへん。なんとかアテネとトマティーナはデータを持っているけれども、UK関係の500枚以上はほぼ全滅かも…。これ以降、いつアップできるのか見込みはたってません。うーん、おれもショックだ。アップルよ、広告メールを送りつけてくれるより、この僻地にいるジャパニを助けてくれぃ!
2004-09-11 [長年日記]
GRANADA
とりあえず、スペインまで帰ってきました。モロッコはとにかく、よろしい。わかりやすい旅先って感覚をレシーブしてきたわけです。サハラ砂漠=大自然とロマン、迷路のような旧市街=あーこういう雰囲気が好き、しゃしゃり出てくる現地人=会話がたくさんあって楽しいなぁ。
さてさて、いまはスペインのグラナダっていうところにおるわけですが、うーんここも捨てがたい。というか、オススメ度満開。イスラミックアラビアンが北アフリカをとおってこのあたりまで勢力を伸ばしていたらしく、建築がイスラミックなわけです。建物はおろか街さえも。その輪郭がくっきりしたような街並みにスペインならではのセンスと、ここいらの人のよさが加わって、それはそれはもう、ええ街なわけですわ。メシもうまい。昼はパエーリャとサングリア、夜は生ハムというコンボ決めておきましたー。
これから北上かつヨーロッパを横断しまする。まずは目指せブリュッセル。
2004-09-15 平和の常に一歩手前には [長年日記]
BARCELONA
ピカソだけの作品を置いている美術館へ行った。彼の少年時代から晩年までの絵をたくさん置いているところ。年代別に分けられているので作風が変わっていくのを確かめることができる。平和への切なる思いは、重たく暗いものだった。まるで脱却できないところで、もがき苦しんでいるかのような空気を吸った。ゲルニカ自体はここにないんだけれども、そのパートデッサンのようなものはあって、上を見ている人と折れた剣を持っている手があった。その顔は、爆撃機を恐れ「また来たか」という顔をしていた。
4人の兵士に4組の母子が銃を突きつけられている絵があった。怒り・失望・無感情・恐れ。突きつけられている方には4パターンの顔があった。そばには自体を飲み込めない幼子が地面にいる虫か草かを覗き込んでいる後姿があった。兵士にも4つの表情があった。スペイン内戦はプラハで見たロバートキャパ展である程度の予習ができていたのだが、絵の力もすごい。えぐい。その時代を生きていないのに後悔すら感じる。
今回の旅でアウシュビッツを筆頭に西欧社会の戦争の縮図を垣間見て、さらにそれが現代に繋がっている糸のようなものも見えた。この世の中に対して、この見えてきたものをぶちまけていきたい気分だ。彼らがそうしてきたように。
2004-09-16 直線と曲線 [長年日記]
BARCERONA
久々にバスのパスを買った。まずはブリュッセルへ。これから2週間、バスに乗りまくれるのでどこに行こうかと思案中。決まっているのは現代建築のおもしろそうなベルリン、友人の待つプラハ。イスタンブールを目指すので、ブダペストまでは行きたいなぁ。みなさん、どっかいいところを知っていたら教えてね。
さてさて、今日は現代建築をふたつ見てきたよ。ミース・ヴァン・デル・ローイのバルセロナパビリオンと建築中のジャン・ヌーベルの作品。やはり現代建築はおもしろいね。なんか「おっ、こうきたか」とか「これは新しいなぁ」というような感動がやってくる。自分のような素人が見て「うわ!」と思えるのもすごいことだよ、まったく。最近の建築は曲線を使わないらしく、シャープだったわさ。
その間には、パルケ・グエルというガウディ作の公園で昼寝してみた。くねくねと曲がるベンチは、膝枕をしているカップルたちにやさしい影を落としていた。
ほな、ブリュッセルへ向かいます。ヒロコロ醸・その母よ、あさってのお昼に小便小僧を見ましょう。
2004-09-27 移動づくし [長年日記]
BUDAPEST 帰ってきました、東欧に。今日の移動はつらかったー!1本で同じ時間に乗るよりも、なんかしんどかったなぁ。昨日の夜にパリを出て、朝、ドイツはミュンヘンに。そこでドイツワールドカップの競技場を見て、ウィーンへ。本家ザッハトルテを食うことなくブダペストへ。30時間弱かかりましたが、東欧です。はー、やっとここまできた。明日以降はボスニア・ヘルツェゴビナ行きを検討しまーす。
2004-09-28 ルート決定☆ [長年日記]
BUDAPEST
昨日ゆっくり考えた結果、薄くたくさんの国へ行くよりも、まずは安くゆっくりイスタンブールにいこうと考えました。明日にもウィーンへ戻り、夜行でブカレストへ。ここまでバスパスを利用するので、移動費用はタダ。そこからソフィア経由でイスタンブールに向かいます。あー、忙しいのは苦手なんだよね。年かなぁ、ねっ純ちゃん(w
ゆっくりになったらなったで、ちゃんと日記なぞを追いつき、しっかりビールも飲まねばならんということです。ブダペストライフを楽しみまーす。ほな。
●その夜
今日はチャンピオンズリーグの予選、レアルマドリッドvsローマがあるのでスポーツバーを探す。しかし、ない!さすがサッカーで出てこないハンガリー。スポーツバーを探すのが一苦労です。表には「SPORT」と書いてあっても実際にやっていないところ多数。おいおい、こんな対戦を放送しないでどうするの。探すこと40分。やっと発見して20型もないテレビに釘付けになる。後半35分に到着したら2-0でローマが勝っていた。しかし!最終的には2-4でレアルの勝ち。ありえんぞ。とてもしょっぱい試合だ。馬鹿王子トッティは、2点目以外に精彩を欠いた。ディフェンスもあと一歩で4点も取られる展開。ラウルの復活をサポートしてしまう。トッティよ、おれはユーロでの馬鹿っぷりを忘れていないぞ。
お梅 [モロッコ国鉄って自転車積めます?バスとどっちにしようかなと迷ってます。]
uracci [もう出ちゃったのでなんとも言えませんが、おそらく積めるかと。 モロッコのすべてのトランスポートでは荷物代を取るのです..]
純 [たどってきた絹の糸を見つけるってすごい。感動。誰かが伝えて守ってきた跡だよね。]
uracci [もしかすると現地人が「こりゃうめー!!!」と何代も飲んできただけだったりして。でも、こういうの見つけるってうれしいの..]