2004-04-10 ブッダ・イズ・ナッシング [長年日記]
BAMIYAN
朝起きて、部屋の扉を開けると、ブッダ像跡が見えた。一等地である。ただ、北向きのためとても寒い。さぁ、キンと張った空気の向こう側へ行ってみよう。見えているとはいえ、畑とも地雷原ともつかないエリアを避けるために、街の端っこまで行って迂回しなくてはならない。およそ30分の散歩。しかしながら、丸太橋を渡ったり、農業をしているおじさんがいたり、と楽しいハイキングになった。ブッダ像は、やはりなかった。壁と同じ色の石がゴロゴロと転がっている。アジアの神様は粉砕されていた。そのくせ、アフガン人はあれはイスラム教の遺跡だ。と言い放った。なんで?とこのときには思ったけれども、後になって理由に気づくことになる。オマルの率いたタリバンは、この国に蔓延していたイスラム教を「違う」と否定したのだから。ここからは勝手な推測になるけれども、ここバーミヤンを本拠地に置くハザラ人たちの象徴だったのだ。タリバンたちパシュトゥン人たちは、他の民族の神様をぶっつぶしたと言えよう。まぁ、この宗教を相手に神様というコトバを使うのはどうかと思うのだけれども。みなさんに謝らなくてはならない。どうやら素晴らしい光景に出会ってしまったため、一眼レフばかりを使っていたようで、デジカメの写真は非常に少ない。本当ならば、ブッダ像の頭の位置まで上がった写真があるはずなのだが、まぁそれはまたお会いしたときにでも。
夜、NGOの連中がやってきた。「オレたちと車をシェアしてバンデアミール湖に行ってみないか?」。元から行く気だった自分には断るすべはない。話も丸く収まり、明日は世界で一番美しいといわれる湖へ。ちなみに凍りついたバイカル湖も美しいといわれている。これは予備情報。