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sawadee!!紀行+


2004-01-31 チャダルトレック1日目 [長年日記]

CHILING→どこぞの洞窟

ついにチャダルへ。朝ゴハンは当初の予定どおりチーズとチャパティ。そしてチャイ。湯気をガンガン立てているチャイ。なんかアウトドア派の朝である。実は昨日の夜、雪が降った。ビニールで覆った屋根があるとはいえ、所詮は外。起きたら、シュラフの一部に雪が積もっていた。大気中に逃げて行く体温に溶かされて、再び凍った雪がシュラフの内部に忍び込む。溶けた雪の一部はシュラフを伝って背中や尻の部分で水たまりとなったため、快適とはいえなかった。寒い朝。それをほぐすチャイ、一杯。
歩き始める。天気は雪からくもりへ、そして晴れへ。わずか1時間の間にグッドコンディションができあがった。しばらくは道を歩く。理由はふたつ。ひとつは単純明快に道があるから。そして、もうひとつは、氷が弱いから。エメラルドグリーンの色をした川がゴウゴウと音を立てながら流れていく。ここに落ちたら一巻の終わりであることは素人の目にも見て取れた。
しばらく進んで、ガイドのソンブーとスタンジンが川に下りる。ここからなら大丈夫だ、と。ソリに荷物を積み込み、それぞれのザックを背負って、旅は始まった。
ただ、今年は暖冬だという。氷はところどころでミシッと音を立てる。少し歩いては信用できない氷を避けて河原を歩く。ハンドボールやサッカーボールのような大きさの石が隙間なく詰め込まれた河原。これもチャダルトレックである。単に氷の上を歩くだけではない。ときには河原を歩いたり崖をよじのぼって高巻きしたり。1時間ほど河原を歩いたあとは、再び氷の上へ。雪が降っていたので色は白く、太陽の光をギラギラと反射する。氷の中の様子が見えないのは、とても心臓に悪い。その一歩、を踏んでしまった瞬間に頭の中で何かが閃くときがある。頭から体へそのシグナルが届く前に、たいていの氷はミリリッと頼りない湿った音をたてるのだ。あたりは絶景である。で、あるが今日の調子ではあたりを見渡す余裕は少ない。草も木もない茶色の山、エメラルドグリーンの川、白い道。蒼い空の一部には強風にさらされた雲が逃げていく。それがすべて。その数個のコンテンツの中から、いま自分は下に広がる白い部分だけを見ていた。これが、チャダルトレックか。
15:00に洞窟を発見。ここで選択を迫られる。進むか、ここで停泊するか。今日は効率のよい氷の上ばかりでなく、とても進むのが遅い河原を歩いた。日程的には前進であるが、この氷の調子では次の洞窟までノープロブレムでいける保証はない。全員で相談した結果、前進でいこうということになった。山と違って、リーダーはいない。経験を何度も持つスタンジンの意見を聞いて、雇い主である日本人たちが決断を下し、さらに話し合うというスタイル。全員一致で前進となった。
しかし、これが吉とはでない。エメラルドグリーンの川はどんどんと川幅を増し、ついには白い部分がなくなってしまった。大きな岩でブラインドになった部分には氷がなかったのだ。しかも今度は河原ではない。3〜5mほどの小さな崖の上なのだ。歩くのはしんどいだけでいいけれども、持っている荷物をソリで引けないため、さらに負荷が増す。これがこたえた。18時過ぎ、暗くなり始めたころ、やっと氷の道の上に出た。19時。やっともうひとつの洞窟を発見する。今度は、間違いなく吉。10人は寝ることができそうな、とても広いスペースでゆったりとくつろぐことができるからだ。マギーとチャパティーで腹を膨らませる。最後の一杯は、昨日みんなで買ったローカルのRUMをチャイで割って暖を取った。
月がだんだん大きくなってきている。夜中も明るかった。
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