2007-04-23 21世紀の壁 [長年日記]
okurayama_yokohama
「壁」が増えている。イスラエル人とパレスチナ人を分断する「壁」に続き、バクダッドにもスンニ派とシーア派を分ける壁ができ始めた。東西冷戦時の「ベルリンの壁」は地球上の二大勢力を分けるイデオロギーの壁だったが、今回の壁はそうは単純ではなさそうだ。
まず東西冷戦時代は、どちらもが「自分たちの方が優れている」と信じていた。コトはそうは単純でないだろうが、壁の向こうは「行ってはならない世界」であり、互いの為政者は互いの思想に触れるべきでないと考えていたはずだ。また、両イデオロギーに同盟国が何十か国もある状態で、まさに世界を二分していた。だんだん差がついて共産主義は崩壊してしまったが、途中までは対等だったはずだ。
だが、21世紀の壁は違う。東西冷戦時の壁は「二分する」という役割だったのが、「少数派を囲む」に変化している。つまり、権力や財力や国家力のある方が、ない方に対して「処置」しているのである。パレスチナ人を囲う壁や新しくできたスンニ派を囲う壁は、あまりにも狭い。壁を隔てて仲が良くなることはない。極論は国境が壁のような近所のアノ国を見ればおのずと答えは出る。隔離ゾーンを増やす21世紀、平和って遠いなぁ。