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sawadee!!紀行+


2006-04-19 川二郎 [長年日記]

nakano_tokyo

かつて食うたことのない鰻を食うた。そいつは串だった。丼ではない。いなせな縄のれんをくぐれば、焼き手のおやじさんがどの席にも手を伸ばせるちっぽけなカウンター。品書きも壁も、半世紀という年季を誇っている。もちろん、おやじさんも女将さんも二代目とはいえ、相当の手練れ。裸電球に照らされたすべてはオレンジ色に輝く昭和空間だった。
場所は中野。今回で二度目の訪問である。前回は…10日ほど前にドミ仲間の藤堂さんに、ここ川二郎に連れてきてもらったのだった。ポケットの中にたまっている糸くずのような細い迷路のような路地。古ぼけた昭和の感覚を完璧なまでに今に伝えている一角に鰻のしびれる店があったのだ。
冒頭にも書いたが、川二郎は丼やひつまぶしの店ではない。串がここの醍醐味なのである。ヨソと川二郎の違う点は、この串に集約されているのだけれども、なんと鰻のすべてを食らうというのだ。普通は蒲焼やら丼でお馴染みの身と肝吸いに使われる内臓の一部だけ。しかし川二郎は頭の下のエリやら、骨際のバラ、魚の醍醐味ともいえるヒレ、そして内臓を使う。骨もカリュシュームと名づけられ、ぽりぽり食える。捨てるのは頭の先っぽのみ。そして、この内臓にもひとつのコダワリがある。肝臓のレバーとそれ以外の肝とは別物なのだ。分けて食べると、ふむ、明らかに味が違う。くぃっと冷酒をひっかけながら、内臓を二通り楽しめるのは、酒好きには兎に角たまらんのだ。個人的にはニラの周りにくるくるとヒレを巻いたものと、燻製が凄まじい。と、書いてから、いや待てよアレもコレも捨てがたいと早くも後悔を始めている。とにかくすべてがスペシャルなのだ。
職人芸ともいえる炭火でじゅーっと焼かれた串を、はふはふと食らう店。いやぁ素晴らしい。予算は丼をつけると4000円だが、酒飲みの食い方をすると、冷酒を3杯ひっかけても3000円程度。この味、この技、この雰囲気で、この価格帯は奇跡とも言えるだろう。興味のある方、一緒に行きましょう。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
くろ (2006-04-20 14:11)

おちょこ・うなぎいーね<br>いく

uracci (2006-04-22 01:20)

いこう<br>くろちゃん、ご招待〜。