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sawadee!!紀行+


2003-01-06 試験運用6 [長年日記]

kobe

●見出し案50
軍事政権が生み出す価値観。
(ラタキア/シリア・アラブ共和国)
シリア人が素朴なのは、圧倒的な警察権力によって犯罪者を取り締まっているからでもある。もちろん言論の自由はない。大統領の悪口や政治批判、イスラエルの話題を出せば、即座に拉致・監禁されてしまうのだ。国内では大統領のグッズを多数販売していて、国民のほとんどが身に付けている。
※写真/権力を握るアサド父子
▲石を投げれば秘密警察にあたる、と言われるまでの組織を育て上げたアサド父子。

●見出し案51
正義がどちらにあるか、は重要ではない。
(クネイトラ/シリア・アラブ共和国)
シリアはアラブの中でも、最も反イスラエルの国家である。1967年の第3次中東戦争におけるイスラエル軍の破壊の様子を、後世に残すべく保存している。学術的にはシリア軍が自ら破壊したものだという説と、イスラエルが空爆したという説があるが、戦争の悲惨さを物語っているのは間違いない。
※写真/爆撃された病院
▲クネイトラの中で最も目を引くのが、無惨なまでに破壊された病院である。

●見出し案52
絶対に沈むことができない海水浴場。
(死海/ヨルダン・ハシミテ王国)
死海の基礎スペックをご存知だろうか。標高マイナス394メートル。これは標高0メートル地点より394メートル分の空気が余分に頭上にあることを意味する。気圧が高いと密度が上がり、水に溶ける物質量も多くなる。塩分濃度は27%の死海で立ち泳ぎすると胃のあたりまで浮くことができる。
※写真/死海で遊ぶ人たち
▲泥や塩など、日本でも人気の健康成分はそこら中にいくらでもあって使いたい放題だ。

●見出し案53
サーマル氏は本気で苦しみ、悲しんでいる。
(アンマン/ヨルダン・ハシミテ王国)
フセイン政権の時代から、イラクを目指す日本人は存在した。そのほとんどはアンマンのクリフホテルを経由する。理由は以前までイラクツアーを出していたため、情報に事欠かないからだ。戦争によりツアーは消滅した上、スタッフは昨年「絶対に行ってはダメだ」と言い続けてきた。しかし、向かう日本人もいた。
※写真/くつろぐサーマル
▲昨年、テレビや新聞に取り上げられた日本人たちもここから出発したという。

●見出し案54
2聖地は祈りに包まれているが、しかし。
(エルサレム/イスラエル国)
三大宗教の聖地が同じ街の同じ旧市街に密集しているという。ユダヤ教の『嘆きの壁』、キリスト教の『聖墳墓教会』、イスラム教の第三の聖地『岩のドーム』である。そして、この土地をみっつの宗教すべてが「自分の宗教こそがエルサレムに根付くべきである」と主張しているのだ。
※写真/岩のドームと嘆きの壁
▲岩のドームを取り除き、いつかはユダヤ教の神殿を再建しよう『嘆きの壁』に祈る信者たち。

●見出し案55
主張=紛争の火種の図式。
(エルサレム/イスラエル国)
一世紀に勃発したユダヤ戦争で、ローマ帝国はエルサレムにあるユダヤ教の神殿を完全に破壊した。その後、イスラム教がメッカで興り勢力を拡大。この地の土着宗教となる。第二次大戦後に欧米の政策によりユダヤ人が帰ってきたため、エルサレムはさらなる混乱に見舞われることとなった。
※写真/第三代目の寺院建設予定図
▲岩のドームを壊して新神殿を建てようとするユダヤ教右派の看板。ルーツを同じくする三宗教の争いは激化の一方だ。

●見出し案56
アラファト氏死去、そのとき。
(アカバ/ヨルダン・ハシミテ王国)
アラブを引っ張ってきたアラファト氏が2004年10月に亡くなった。関係諸国における反応はさまざまで、アラブのすべて国家は哀悼の意を表明。エジプトでは葬儀が盛大に行われた。その一方で敵対してきたイスラエルのユダヤ人は、花火を鳴らすなどの喜びを全面に表したという。
※写真/半旗のヨルダン大国旗
▲半旗ではためくヨルダン国旗。ニュースや新聞を食い入るように見つめる庶民の姿があった。

●見出し案57
イスラム教徒はメッカに向かう。
(ヨルダン〜エジプト間フェリー)
イスラム教徒には五つの義務がある。アッラーが全知全能の神だと唱える。メッカに向かって1日に5回礼をする。ラマダン期間中に断食する。財産を貧しい人に分け与える。そして、メッカに巡礼すること。この船はアフリカ方面からメッカに行き来する人の大動脈となっていた。
※写真/夕方17時に一斉に食事を取る
▲断食月には特に巡礼者が増える。17時、断食終了の合図とともに一斉に夕食を取る人たち。

●見出し案58
イスラム国家の酒事情。
(カイロ/エジプト・アラブ共和国)
コーランがイスラム教徒に禁じていることをハラームという。日本で有名なハラームは豚肉や酒類の飲食、結婚前の男女の性交渉などである。しかしながら、中東諸国では酒が手に入ってしまう。なんと酒屋がほとんどのアラブ国家にあるのだ。ちなみに豚を売る店はほとんどない。
※写真/カイロの酒屋
▲気になる銘柄は「ジョニーワーカー」「ワディーホース」「ガカルディ」など、盗作ばかり。

●見出し案59
イスラムの断食月は社会のルールが変わる。
(カイロ/エジプト・アラブ共和国)
ラマダン(イスラム暦の第9月=断食月)のときは、役所・オフィス・商店・観光地などの開いている時間が変更される。もちろん通常時より短くなるのだ。飲食店のほとんどは、1日の断食終了時刻である17時頃オープンする。対して観光地や役所などは昼間早々に閉めてしまう。
※写真/ラマダンタイムの看板
▲カイロ市内で最も有名な博物館でも開館時間の短縮が行われている。

●見出し案60
迷走するアラブ国家の政治方針。
(カイロ/エジプト・アラブ共和国)
電話ボックスにイスラエルとパレスチナの国際電話番号が書かれていた。これはエジプトという国家が矛盾するはずの両国の存在を認めていることを意味する。1979年にイスラエルと和平協定を結び、米国から巨額の経済援助を与えられるようになったのだが、若者の中には武装組織に走る者も出た。
※写真/電話ボックス
▲経済援助を取るか、『アラブの大義』を取るか。両方を選択したエジプトの未来はいかに。