トップ «前の日記(2006-08-09) 最新 次の日記(2006-08-14)» 編集

sawadee!!紀行+


2006-08-10 中東あのときあの景色〜クネイトラ〜 [長年日記]

okurayama_yokohama

※クリックで写真を拡大表示できます。

潰れた家
▲ミサイルで人は死ぬ。町もなくなる。

シリア南部のゴラン高原の麓にクネイトラというゴーストタウンがある。中東戦争時にイスラエルに破壊された町だ。原型を留めただけのモスクや教会、そして家や病院。シリア政府は、この破壊されたエリアを「イスラエルの攻撃によるもの」として復旧させず廃虚にしたまま放置している。町全体が反イスラエルの意図を含んだプロパガンダとなっているのだ。プロパガンダなのは確かに変えようのない事実だが、同時にイスラエルはここまで破壊するんだという証拠だとも言える。私はクネイトラを負の遺跡ととらえている。
連日のレバノン情勢の報道だが、あくまでも小さな地区の数家族だけにしかスポットライトがあてられていない。イラク戦争の時も同様だった。アラブの民が号泣する姿が何度も流れた。だが、私たち日本人にはどんな規模で破壊されたかということに関しては、あまりにも届いていない。つまり、これらの悲劇の数家族がどんな規模で存在しているかがまったく不鮮明なのだ。「ひょっとすると、この家族が報道陣の探し出した最も悲劇的な象徴なのかもしれない」。誰もがそう考えて当然の番組構成になっている。私はイスラエルの攻撃が徹底破壊を旨とした非人道的なものだと考えている。だからこそ、いまクネイトラの写真を提示しようと考えた。

画像の説明
▲ゴラン高原病院。

画像の説明
▲中に入るとガレキの山。暗い通路を歩く。

画像の説明
▲これまでに見た最も悲しい落書き。

画像の説明
▲立ち尽くすしかなかったのだ、小さな私は。