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sawadee!!紀行+


2007-02-17 伝導師 [長年日記]

ryogoku_tokyo

プロレスはやっぱりおもしろい。ちょっと待った!「プロレスの話か…」と思ってるのに、吉本新喜劇を見る人、連ドラを見る人、お笑い番組を見る人、芸術好きの人は、プロレスってオススメよ。うーん、あとはキン肉マンが好きだった人も、かなりプロレスを知るべきだと思う。
まず、プロレスを簡単に言うと、30年以上続いている筋書きの【ある】ドラマであるということ。毎試合結果が決まっているわけではないけれども、数日間の1シリーズや季節単位での流れは決まっている(と言われている)。その終着駅に向かって、試合をするレスラーたちはアドリブで技をかけたり、アドリブでマイクアピールなどをしたりしているわけだ。例えると、ライブペイントとか、アドリブの多いお笑い芸のような、頭の中で弾ける一瞬の切り返しみたいな要素が必要なのである。そのときに動くのが口や手ではなく肉体ということは違うのだけれども、瞬間の閃きやレスラー同士のあうんの呼吸は相当に要求される。そういう点ではレスラーは負けたっていい。今後の展開を作ったり、良い閃きを見せてくれたり、唸るような技をかけたりかけられたり、いや、ただ耐え忍ぶだけでもいいから「おっ!」と思うような「良質な試合」をすれば、それでよいのだ。そういう意味ではリング内だけでなくマイクパフォーマンスが抜きん出ているだけでも、相当にいけてるレスラーなのである。ようは、お客が喜ぶことをして勝負するのが大切なのだ。
総合格闘技も閃きが必要とはいえ、反射神経や筋肉など肉体そのものの素質に頼る要素は大きい。学校で習う教科で言えば「体育」が得意でなければならない。だが、プロレスラーに必要な科目はなぜだか「美術」も入ってくる。よく「なぜよけないの?」と聞かれるけれども、それは受けて勝つのが美しいから、としか言いようがない。技を受け合い息を切らせている様は、見始めた最初の頃は疑問の対象だったり、泥臭かったりするんだけれども、クセになってくるのだ。「おれはお前より強い」と言うにあたって、何が説得力があるかは意見が分かれるところ。体育のキレやインパクトで勝負をするのか、それとも相手の得意なものを受けきって技術を出し切って勝つのが美しいか。プロレスと総合格闘技の違いはそこにある。また、技をきれいに決める、もしくは決められるためには美意識が必要となってくる。あと必要な科目は、「道徳」。これをあえて悪用するのが、いわゆるヒールと言われているレスラーで、ヒールと対抗する正規軍のレスラーはたいてい「道徳」を善用する。いろんな技があって、いいやつとか悪いやつとか、さらにはおもしろいやつ、丈夫なやつ、ひ弱だけれどもすばしっこいやつ、勘違いしているやつなどなど、いろんな個性のレスラーがいるなんて、まさしく社会の縮図じゃない?それを肉体で語り、たまに星のかけらが飛び散るような伝説の名試合が生まれる、ぼかぁそんなプロレスが大好きだ。てことで、今日は両国国技館へ行ってきたのでした。