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sawadee!!紀行+


2005-02-14 こちら大塚駅前 [長年日記]

tokyo

「らっしゃいらっしゃい。はい、お兄さん、らっしゃい!」。小さな鮮魚店の店主が声をかけてきた。「サンマ安くしとくよ」。
大型店舗がブラックバスのように個人商店を食い散らかしてすでに十数年が経つ。ここしばらくの間で店舗のあり方は大きく変わったといえよう。農道が毛細血管のように走っていた郊外では、大型駐車場完備のスーパーがあたり前。ベッドタウンの駅前も再開発の波にさらされ、鈍色のカタマリだけの街になってしまった。僕の故郷の神戸市の垂水駅前などはそのいい例である。失敗した護岸工事に、思い出をぶち壊しただけの駅前再開発。日本に帰ってきてそこらを見渡しても、大なり小なり垂水駅前みたいなものだった。しかしながら、ここ大塚には我々が捨ててしまった日本の姿が残っていたのだった。個人商店ががんばっている姿というのは、社会の荒波にさらされている自分にとって最も勇気づけられる存在かもしれない。
しかしながら今日は、買い物が済んでいた。「おっちゃん、また来るわ」。店の親父さんは、すでに違う客に声をかけていた。