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sawadee!!紀行+


2006-11-27 FarEastを守る [長年日記]

okurayama_yokohama

久々に雑誌、旅行人を見た。いや、実際はそこまで買ってないわけでもなく、旅のときには「旅行人ウルトラガイド」という歩き方よりもマニアックなガイドブックを持って行くことがほとんどで、シリーズを通して言えば決して見ていないわけではない。単純に、気になったのだ。あの、すべてのキッカケをくれた雑誌が。
この旅行人という雑誌と自分の出会いは1998年のメーサイというタイ最北部にまで遡る。そこで出会った旅人が旅行人を持っていたことがすべてのキッカケだった。「おもしろいですよ、これ」。ただそれだけだった。この頃の自分はいまと違ってイギリスとタイにしか行ったことがなく、世界のすべてが見たこともない異国のインスピレーションに満ちていた時だ。そして、世界の道を這いつくばるようにして旅をしている人たちの生の情報を月に一度得ることができるようになった。また、この時から1999年11月までは、母が入院していた時で、見舞いに行って母が寝ているときにはガイドブックのすべてを読破したものだ。このときに主に読んだのは「アジア横断」で、それはそれは胸を焦がしたものだった。自分をよく知ってくれている人は分かるだろうけど、旅によって人生を狂わされた主犯とも言えるし、旅をしてこれた最大の師匠とも言えるのである。
最近、連載歴のあったABROADもアジア倶楽部も休刊してしまった。おれは旅のインスピレーションをアウトプットする先がなくなってしまったのだ。日々、広告制作や企業ホームページ制作なんかもやっているけど、実際はやはり旅のアウトプット抜きには人生が破綻してしまう。いま、いくつかの旅や海外ライフを取り上げた雑誌が出ている。「旅学」や「coyote」なんかが、筆頭である。それらの雑誌に新規に営業をかけてもいいのだけれども、なんか一歩踏みとどまってしまう。今日、その理由が分かった。これらの雑誌はキレイ過ぎるのだ。おれだって写真を撮る、文も書く。可能な限り良いものを作りたい。そう考えたときに旅学やcoyoteはフィールドではないのだ。なぜかというと「良いものとは何ぞや?」ということに尽きる。自分としては、やはり長期旅行者という視点が何よりも優先される。他人から格好良く見えたり、気が利いた構成やレイアウトだったりというのが最重要なんろうか?答えはあるには越したことがないけど、ひとつしか選べないならNO!だ。新しいコンセプトも受け入れるべきだけれども、いや、そちらにはそちらが似合う人がいる。自分には何よりも「旅人が書いている」という悪く言えばねちっこさみたいなのがウレシイのである。サラリとしたくない。こうなると好みの問題だ。
おい、待て、きみABROADとか書いてたやん、と言いたい人もいるかもしれん。でも、あれはあれでまた違う。かなり数多くのツアーしか知らない人に対して「長期旅行者」という新しい世界を提供することができる場所だったのだ。やはり、そこでも長期旅行者なのである。月刊アジア倶楽部ではアジア横断の詳細やアフガニスタンを書いたし、そういう影響みたいなもんを考えると、うーんやっぱり旅行人がよい、と思うようになった。そして、今日、気が乗って「書きたいのですが」というメールをなんか勢いで送ったのだった。
こういうイキサツだから関係者も検索やら何やらでこのページを見ることにもなるかもしれない。けれども、デザインの点やら代わり映えしない執筆陣ということも、なぜか今日思わず書いてしまった。さらに書き足すとすれば、いまのいままでそういうキッカケをくれた雑誌としても営業しなかったのは、大学時代に書きたいと申し出て「いやです」とやんわり言われたことにも端を発する。心が狭いおれは、他のアウトプット先に恵まれたこともあって、いまのいままで「なにくそ」と思っていたわけだ。だが、今日なんかの閃きでメールを送った。いま、おれの企画でしょ、と思った。これまで書いた、旅の終わりで書いたエルサレムでの日記や、この前のレバノンのクネイトラ、ロマと出会ったウィーンの乞食の話、一本柔道の話なんかは、旅行人で掲載してみたい。もちろん、雑誌の売れ行きにも多いに関わることだから先方が自分を選んでくれるかどうかは別問題である。「やりましょう!」と言うこともあれば「いやです」とやんわり言うこともある。どうなるかは分からない。ただ、傍目には汚く格好わるいかもしれない長期旅バックパッカーという生物を大切にしている旅行人に、ただ唯一売り込んでみようと思ったのだ。いろいろ個人的に動きもあって、そちらの仕事もキッチリせなアカンのだけれども、そうなる前にいま一度売り込んでみたいと思ったのが極東のバックパッカーを生み出し育てた旅行人だったわけである。新しい血として良い風に引っ掻き回してみたい。その準備が整ったからメールを送ってみたのだった。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
maimai (2006-11-28 09:49)

webのシェア率がすっかり高くなってしまったこのごろだけれど、<br>やっぱり本はいいよねー。50年後も残るんだもん。<br>未来の子孫にも誇れるよいものを、つくってほしい。<br>がんばってねん*

uracci (2006-11-28 17:55)

本は、よい!雑誌も、よい!もう、紙をやりたい人集めて、国民の皆さんに「買ってください、救ってください」と巡業せなアカンのやろうか。それ、ナンセンスでおもろいかも。なんでもデジタルってすごい世の中やで。だって、音楽だってアルバムまるごとダウンロードやで。「そうそう、あのマヌケなジャケのアルバム」とかもう言えなくなるんか…。なんか、そういうのってアカンよなぁ。